校木


 

校木 「けやき」の由来

開校30周年を機に、校木「けやき」の由来について、
初代校長宮崎康親先生にお尋ねしました。
(昭和60年11月30日開校記念式典において記念植樹)

 

けやきのように逞しくすくすくと伸びていってほしい

高級家具など「けやき」の美しい木目を生かした木工芸品は翌目にしてきましたので、素材としての価値はよく知っていましたが、本当にけやきに「あこがれ」を持ったのは、私が絵の師と仰ぐ、故桜田精一先生の影響によるものです。
 先生は千葉県野田市に広大な邸宅をかまえておられ、展示会で上京の折に野田まで足を伸ばし、あつかましく宿泊までさせていただき、感化を受けてきました。度々の上京で奥様にも本当によくしてもらいました。その桜田先生の作品には、冬空に亭々とそびえ立つけやきがよく描かれていて、冬枯れの荒れ野に立つその美しさにあこがれをもって見てきたのが原点です。
 先生の作品は熊本日日新聞社の一階ロビーにも、その面影を残した風景画が飾られています。(私の作品も同じ本社六階社長室前の広いロビーに日展出品作「島の教会」を飾ってもらっています。)
 当時、熊本では各地のお城・お宮やお寺でも楠や銀杏、桜や榎などが主役でけやきはあまり見られませんでした。それでけやきは寒冷地の樹木かなと思ったりもしていました。けやきの放射状に伸びた繊細な枝先、その枝先に新芽が出始める春先の情景には、何とも言えない美しさを感じます。秋のけやきは樹種が少し違うのか、樹によって黄葉・茶紅葉と微妙に色が違っていて美しさにも違いを感じます。
 そういう「けやき」への対する憧れが新設校山ノ内小学校にけやきを植える動機になりました。
 山ノ内小にけやきを植えて2・3年後、大甲橋から市役所までの電車通りの並木が「銀杏」から「けやき」に植え替えられました。また、熊本工業高校北側にも美しいけやき並木ができ、空港から57号線へ向かう2本の通路もけやき並木、そして江津湖畔とけやき並木もずいぶん増えました。また、新しい公園や学校でもけやきをよく見かけるようになりました。
 玄関前の車廻しのけやきは、開校時の全職員が費用を出し合って購入しました。その西側、体育館寄りの大きなけやきは、緑化推進課に何度もお願いして探してもらいました。
 どうか児童の皆さん、春先の新緑・秋の黄葉と季節の折々に情感を感じながら、眺めてください。そしてけやきのように逞しくすくすくと伸びていってほしいと思います。
              
                            初代校長 宮崎 康親

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